プロフィットファクターの計算と使い方
日本一詳しくプロフィットファクターを解説します。
*本記事は法律で認められた金融庁登録業者により書かれています。
✅ | プロフィットファクター = 総利益 ÷ 総損失 で計算されます。 |
✅ | すなわち、総利益が総損失の何倍かという比率を示す指標です。 |
✅ | 英語では「profit factor」と表記され、「PF」と略されます。 |
✅ | 投資戦略やシステムトレードなどを評価するために重要です。 |
✅ | 理論上はプロフィットファクターが「1」より大きい場合に利益が出ます。 |
✅ | 数値はトレード回数の影響を大きく受けます |
✅ | ドローダウンを反映しないという弱点があります。 |
【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
【説明】投資家の皆様への継続支援を通じて金融立国に貢献します。
本記事では、下記の目次の内容を記載します。
PFの基本と計算方法
プロフィットファクター(Profit factor)は、総利益が総損失の何倍であるかを示します。
プロフィットファクター = 総利益 ÷ 総損失
FX自動売買システム(Expert Advisor(EA))の性能評価に利用される指標です。
なお、投資家が気にする合計損益(口座残高の増減)は総利益と総損失の差です。プロフィットファクター、損益、総利益および総損失の関係を表1に示します。
プロフィットファクター (総利益 ÷ 総損失) | 口座の損益 (総利益 - 総損失) | 総利益 (勝ちトレード合計) | 総損失 (負けトレード合計) |
---|---|---|---|
5.0 | 4万円 | 5万円 | 1万円 |
2.0 | 250万円 | 500万円 | 250万円 |
2.0 | 100万円 | 200万円 | 100万円 |
2.0 | 50万円 | 100万円 | 50万円 |
1.5 | 100万円 | 300万円 | 200万円 |
1.0 | 0円 | 100万円 | 100万円 |
0.5 | ー100万円 | 100万円 | 200万円 |
0.2 | ー4万円 | 1万円 | 5万円 |
表1から分かるように、プロフィットファクターが1より大きいと利益を、小さいと損失を生みます。
しかし、【プロフィットファクターが大きい ≠ 利益が大きい】ということが分かります。
これは、口座の損益は、ロット数(レバレッジ)と相関するためです。ロット数に比例して、総利益と総損失は増減し、その差である合計損益も増減します。
つまり、利益を増やしたければロット数を増やせばよく、そのかわり損失(リスク)も増えます。このような点から、利益額はEAを評価するうえで重要ではないことが分かります。
一方、プロフィットファクターは操作できない(EAごとに決まっている)ため、EAの性能を評価するために重要な指標であると言えます。
MT4のバックテスト結果(Strategy Tester Report)では、図1になります。
この例のプロフィットファクターは、
総利益(111,866.94)÷ 総損失(68,859.68)
= 1.62(プロフィットファクター)
となります。
PFの数値が高ければ優秀なEAと言えるか?
例えば、プロフィットファクターがそれぞれ、「3.0」「2.0」「1.5」のEAがあるとします。
EAの性能は「3.0」「2.0」「1.5」の順番に優秀と言えるでしょうか?
結論としては、プロフィットファクターの値の大小だけで、EAの性能が決まるわけではありません。プロフィットファクターの値は、トレード数に応じて信頼性が変わるため、トレード数も考慮して判断する必要があります。
【関連記事】【プロフィットファクター】どのくらいが優秀か?
PF2以上のEAが勝てない理由
プロフィットファクターが2以上のEAは勝てません。プロフィットファクターが2以上のEAは、複数プログラムの寄せ集めか、トレード期間が限定されていることが理由です。
寄せ集められるプログラムは、フィルターを入れまくってプロフィットファクターを上げているケースがほとんどです。そのよな過剰最適化プログラムを寄せ集めたところで、それは見せかけの成績でしかなく、遅かれ早かれ負けます。
【関連記事】プロフィットファクター2以上のEAが勝てない理由
そのようなEAは、初心者がターゲットであるケースが多く、注意が必要です。プロフィットファクターの正しい使い方を学ぶことが重要です。
PFの正しい使い方
9割が知らないと書きましたが、おそらく9割9分の人がプロフィットファクターの使い方を十分に理解されていません。
プロフィットファクターはEAが持つ絶対的な値です。パラメータやロジックを変えない限り、変動することはありません。
しかし、バックテストの期間を変えると、プロフィットファクターの値が変わることを経験されていると思います。そして、値が大きく変わるEAもあれば、変化が小さいEAもあるでしょう。
このようにバックテストの期間を変えることでプロフィットファクターの値が変動する理由は、無限(∞)のトレード数をこなさない限り、プロフィットファクターは、そのシステムの持つ絶対的な真の値に収束しないためです。イメージを図2にお示しします。
つまり、プロフィットファクターは、∞のトレード回数で検証しない限り、そのEAが持つ真の値には収束せず、確定的な性能評価はできないということになります。
しかし、それでは、実運用で使えません。
そこで、信頼水準(確度、確かさ)を前提に、トレード回数とプロフィットファクターの幅を計算することで、EAの性能を評価することになります。
【関連記事】【誤解が9割】プロフィットファクターの正しい使い方
PFの理想値な平均は?
プロフィットファクターは高すぎても低すぎてもNGです。高すぎる場合は過剰最適化(オーバーフィッティング)が疑われ、低すぎる場合は相場のエッヂを捉えきれていないと考えられます。
では、プロフィットファクターの理想的な値とはどのくらいでしょうか。
私ども経験上、理想的な値は1.2~1.6の範囲にあります。
この理想的な値は、EAの性格により異なります。すなわち、「逆張り」「順張り」「勝率」などEAの性格により、プロフィットファクターの理想値は異なります。
結論的には、理想的な値の平均は「1.25」と計算できます。
【関連記事】プロフィットファクターの理想的な平均値とは
PFの目安【早見表】
プロフィットファクターの理想ライン・優秀ライン・最低ラインの目安を早見できるように一覧表にしています。
プロフィットファクターは、トレード回数に応じて信頼性(取りうる値の範囲)が異なってきます。そこで、一覧表(早見表)を作っておくことで、汎用性が上がります。
【関連記事】プロフィットファクターの目安【早見表】
プロフィットファクターと勝率・リスクリワード比の関係
プロフィットファクターは、リスクリワード比(ペイオフレシオ)・勝率と密接に関係します。EAの性能評価における最も重要な指標であるプロフィットファクターが、リスクリワード比と勝率から計算されるということは、この両者もEAの性能評価において重要な役割を担うことを示しています。特に勝率は、投資家の好みとトレード結果にジレンマが生じています。すなわち、多くの投資家は高勝率EAを好みますが、悪いトレード結果を生むことの方が多いと言えます。
【関連記事】プロフィットファクターと勝率・リスクリワード比の関係
弱点はドローダウンを反映できないこと
プロフィットファクターを使えば、高い信頼性をもってトレードロジックの優劣を判定可能です。しかし、弱点もあります。
それは、プロフィットファクターは総利益と総損失から計算されるという特性から、ドローダウンを反映しないことです。口座はロスカットギリギリのドローダウンに遭遇しているのに、プロフィットファクターは正常という事態がありえます。
このような理由から、ベッティングルール(ナンピン、マーチンゲールなど)の入っているトレードロジックの場合は特に、プロフィットファクターでは正しい評価ができないことに注意しましょう。
【業界初】あなたのEAを点数化!
プロフィットファクターを使って、あなたのEAを点数化することができます。
詳しくは、「【EA採点ツール】「EAスコア」でFX自動売買を点数化!【業界初】」をご参照ください。
EAポートフォリオ【リアル口座の運用成績】
最後に、プロフィットファクターの考え方を適用した「EAポートフォリオの運用事例」について、リアル口座の成績をご紹介します。
【関連記事】EAポートフォリオ【稼ぐロボ】
リアル口座の運用成績
まとめ
✅ | プロフィットファクターはEAを評価するために必要不可欠です。 |
✅ | 数値が高いからといって、優秀なEAとは限りません。 |
✅ | 正しい使い方を知ることは、EAで利益を上げるために重要です。 |
✅ | プロフィットファクターには、ドローダウンを反映しないという弱点があります。 |
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