FX(為替)チャートの種類と使い方

2023年1月7日

FXチャート

*本記事は法律で認められた金融庁登録業者により書かれています。

FXチャートはトレードの舞台ですが、網羅的に理解しないと正しく使うことができません。
チャートはトレードの基本となるローソク足の集合体です。
市場の参加者は(人も機械も)皆がチャートを見ています。
よって、参加者と同じ分析をしなければ、実際の値動きに合わせたトレードをできません。
本記事では、FXチャート分析の基本を解説し、典型的かつ鉄板のチャートパターンを提示します。
本記事を読めば、皆と同じトレード判断ができ、トレードを有利に進められます。
記事の信頼性担保

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
【説明】投資家の皆様への継続支援を通じて金融立国に貢献します。

本記事では、下記の目次の内容を記載します。

FXチャートとは

FXにおけるチャートは、為替レートの推移を分かりやすくビジュアル化するという目的・役割があります。FXチャートはテクニカル分析の土台どなるものなので、一通り理解しておきましょう。

テクニカル分析とは
テクニカル分析は、ファンダメンタルズ分析と対比的な位置づけにあるFXの未来予測のための分析手法です。テクニカル分析では、過去の価格と出来高のデータのみを材料に将来の為替レートの推移を予測します。FXの場合は出来高のデータがありませんので、FXのテクニカル分析では、過去の価格のみで為替レートの予測をするというシンプルなものになります。FXのチャートシステムには、出来高を表示する機能があるものもありますが、FX会社のティックの動きを出来高として表しているだけなので、注意が必要です。

チャートデータ

FXチャートの種類と使い方

FXチャートは、時系列チャートと非時系列チャートに大きく分けられます。時系列チャートには、一般的によく知られている、ローソク足、バーチャート、ラインチャートの3種類があります。非時系列チャートには、かぎ足、連合足、新値3本足、ポイント・アンド・フィギュア(P&F)などがあります。

ローソク足とは

ローソク足は、四本値(始値、終値、高値、安値)すべてを用いて描画します。3種類の中では最も多くの情報が得られます。3種類の中では、最も標準的にチャート分析に使われるのがローソク足です。

ローソク足チャート

バーチャートとは

バーチャートは、3本値(終値、高値、安値)を用いて描画します。ローソク足と比べて得られる情報は少ないですが、ローソク足と比べて一本分の幅が小さいという特徴があります。したがって、長期間の推移を表示してもつぶれずに表示させることが出来ます。また、チャートパターンを確認したいときもローソク足よりも見やすくなります。

バーチャート

ラインチャートとは

ラインチャートの描画には、終値のみを用います。ラインチャートは、ローソク足やバーチャートよりも得られる情報が少ないですが、ノイズを排除して値動きの概観を掴むために有効です。ローソク足は、多くの情報を得ることが出来ますが、ザラ場でつけたノイズ(意味のないチョッピーな高値、安値)を排除して表示することができます。

ラインチャート

*なお、本サイトでは、ローソク足を使って、テクニカル分析やプライスアクションの説明をしています。

ローソク足の見方

日本でチャートといえばローソク足が一般的です。したがって、ローソク足が示す意味を理解することは重要です。

ローソク足は1本で、設定した時間軸の始値・高値・安値・終値を描画します。ローソク足は陽線(終値が始値ょりも高ぃとき) と陰線(終値が姶値ょりも安いとき) で表示されます。本サイトでは、陽線は白、陰線は黒で描画します。

ローソク足では、始値と終値ではさまれた部分を実体として描画し、高値と安値を上ヒゲ、下ヒゲとして描画します。1本のローソク足から四本値の関係性を読み取ることができます。さらに、ローソク足の形状や、複数のローソク足のコンビネーションによって、値動きの分析を行います。

ローソク足の説明

ローソク足はGMTや時間軸によって形状を変えます。全く違う形状のローソク足が、同じ意味を持つことがあるので、注意が必要です。その例として、2デイ・リバーサルを以下に示します。

左は「毛抜き」と呼ばれるチャートパターンですが、時間軸をズラすと、「ピンバー」と呼ばれるチャートパターンに変形します。両者とも天井を付けた可能性を示唆するチャートパターンです。

ローソク足によるトレードについて詳しく知りたい方は、「FXのローソク足パターン【典型&鉄板トレードを完全網羅】」をご参照下さい。

平均足の見方

ローソク足の変法に平均足というものがあります。平均足は、ローソク足と比べて同じ色の実体が続くためトレンドを測るために有効です。

平均足チャート

平均足は以下のような計算式で描画されます。

  • 平均足の始値 = 前日平均足の実体の中値(平均値)
  • 平均足の終値 = 四本値の平均値
  • 高値と安値はローソク足と同じです。

平均足によるトレードについて詳しく知りたい方は、「FXにおける平均足(コマ足)の使い方【見逃されがちな注意点も】」をご参照下さい。

非時系列チャートとは

ローソク足や平均足は時系列チャートと呼ばれ、ひとつの足に対してひとつの時間が対応しています。例えば、日足であれば一本が1日ですし、5分足であれば一本が5分です。この時系列チャートに対して、足と時間が1対1で対応していないチャートを、非時系列チャートと呼びます。

非時系列チャートとしては、かぎ足が利用され、そこから発展して連合足、新値3本足などがあります。海外ではポイント・アンド・フィギュア(P&F)が広く知られています。

非時系列チャートの歴史は古く、また、値動きのみを分析するタイプの手法であるため、価格のみを追いかけたい場合には、信頼できる手法です。しかし、FXを行う個人投資家が利用するには情報が少なくハードルも高いと言えますので、本サイトでは割愛します。

チャートパターンの種類

FXには多くのチャートパターンが存在しますが、代表的なものを理解しておけば十分です。FXのチャートパターンは大衆心理を反映します。多くの投資家は代表的なチャートパターンによりトレードしていますので、代表的なものを押さえることで大衆心理に則ったトレードをすることが可能です。

FXの大衆心理について詳しく知りたい方は、「FXにおける大衆心理を利用したトレード手法の紹介」をご参照ください。

FXで使う代表的なチャートパターンは、次の5つが挙げられます。

  • サポートライン・レジスタンスライン
  • トレンドライン
  • フラクタル
  • リバーサルパターン
  • コンティニュエーションパターン

サポートライン・レジスタンスライン

為替レートが上下している中で買いトレードを執行するとき、値動きの下値は以前の安値に支持(サポート)されて支えられやすく、値動きの上値は以前の高値が抵抗(レジスタンス)となって抑えられやすくなります。このように機能するレート水準を、それぞれサポートライン、レジスタンスラインと呼びます。

サポートライン・レジスタンスライン

レジスタンスラインは、以前の高値を意識して、それよりもやや低い位置に売りオーダーを出す市場参加者が多いため、以前の高値を意識するという心理的側面に起因します。

サポートラインも同様に、以前の安値を意識して、それよりもやや高い位置に買いオーダーを出す市場参加者が多いため、以前の安値を意識するという心理的側面に起因します。

したがって、サポートラインとレジスタンスラインは絶好のエントリーポイントである可能性があります。また、サポートラインとレジスタンスラインの幅が広いほど、大きい利幅を狙えます。

このサポートラインとレジスタンスラインは、もみ合いが続き値動きを跳ね返す回数が増えれば増えるほどラインの効果が強まります。一方で、ラインの効果が強固になればなるほど、突破されたときの値動きの勢いは強くなり、トレンドが進む傾向があります。なお、サポートライン・レジスタンスラインともに時間軸が長いほど効果は強まります。

トレンドライン

トレンドラインとは、サポートラインとレジスタンスラインの変形です。サポートラインとレジスタンスラインは常に水平な位置で形成されるわけではありません。上昇相場のときは、高値と安値がともに切り上げられ、安値を結んだサポートラインは右肩上がりになります。一方、下行相場のときは、高値と安値がともに切り下げられ、高値を結んだレジスタンスラインは右肩下がりになります。このような右肩上がりを形成するサポートラインと右肩下がりを形成するレジスタンスラインをトレンドラインと言います。

トレンドライン

上昇相場の場合はサポートラインと平行するアップチャネルという値動き、下行相場の場合はレジスタンスラインと平行するダウンチャネルという値動きが見られることもあります。アップチャネル・ダウンチャネルでは、それぞれのラインがサポート・レジスタンスとして効果を発揮します。

フラクタル

フラクタルとは、高値と安値を利用してトレンドの反転を判断するためのチャートパターンです。5本のローソク足により値動きの反転パターンを形成します。フラクタルには、UPフラクタルとDOWNフラクタルがあります。

  • UPフラクタル:連続する5本のローソク足において、中央の安値が最も小さい場合
  • DOWNフラクタル:連続する5本のローソク足において、中央の高値が最も大きい場合
フラクタル

フラクタルは、複数時間枠(MTF)が有効です。すなわち、より上位の時間枠と下位の時間枠で共通のフラクタルがあれば、そのフラクタルは単一時間枠のフラクタルよりも強力なフラクタルシグナルになります。

リバーサルパターン

リバーサルパターンとは、値動きの反転を判断するためのチャートパターンです。上昇から下降に転じるトップに出る場合と、下降から上昇に転じるボトムに出る場合があります。それぞれ、V字、ダブル、トリプル、ヘッド&ショルダーズ、ラウンドと呼ばれる5パターンを形成します。

リバーサルパターン

リバーサルパターンは、高値圏、安値圏で発生するチャートパターンです。このようなチャートパターンが発生した時はトレンドが反転しやすいことから、リバーサルパターンと呼ばれています。

コンティニュエーションパターン

コンティニュエーションパターンとは、もみ合い前後で同じトレンドを形成するチャートパターンです。上抜けの場合と下抜けの場合、それぞれに4パターンがあり、トライアングル、ウエッジ、ペナント、フラッグと呼ばれます。

コンティニュエーションパターンは長期で形成される(日足の本数でおおむね1~3か月程度) バターンと短期で形成される(日足の本数でおおむね1~3週間程度) パターンに分けられます。

コンティニュエーションパターン

トライアングルとウエッジは長期に形成されるチャートパターンで稀にしか出現しません。トライアングルとウエッジは、頂点(右端の角)の手前の80%あたりでもみ合いを抜けると大きな値動きにつながることが多くなります。

また、ペナントやフラッグは短期で形成されるチャートパターンで、急な値動きの小休止として出現します。したがって、ペナントやフラッグが出現した場合は値動きの再開に注意しましょう。

FXチャートの種類と使い方(まとめ)

  • FXチャートとは、為替レートの推移をビジュアル化したものです。
  • FXチャートは、時系列チャートと非時系列チャートに分けられます。
  • よく使われるのは、ローソク足、バーチャート、ラインチャートの時系列チャート3種類です。
  • 覚えておくべき代表的なチャートパターンは、サポート・レジスタンスライン、トレンドライン、フラクタル、リバーサルパターン、コンティニュエーションパターンの5パターンです。