IB報酬の違法性等、金融商品取引法遵守のための当社の行動指針について
金融商品取引法(以下、金商法)を遵守するために、株式会社トリロジー(以下、当社)の行動指針を以下に示します。当社は、お客様本位の業務運営に関する原則・方針(https://www.trgy.co.jp/about-us/company/fiduciary/)という自主規制、指針に則って行動しています。
財務省近畿財務局長(金商)第372号
日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
言葉の定義
- 国内居住者
- 日本国内に住所を持つ者。
- 海外居住者
- 海外に住所を持つ者。
- アフィリエイト報酬
- 1営業成果に対し、1回限り得られる報酬。
- IB(Introducing Broker)報酬
- 取引に対し、繰り返し得られる報酬。
- 無登録業者
- 財務省(地方財務局)に登録していない業者。いわゆる「金融庁無登録業者」のこと。
無登録業者を営業する行為について
国内居住者に対して無登録業者を営業する行為は違法です。なお、無登録業者から報酬の流れる先が国内居住者か海外居住者かを問わず、国内居住者に対する営業実態が存在していた場合は、違法・共犯扱いになると当社では判断しています。
- 国内居住者が、国内居住者に対して営業(内→内営業)
- 国内居住者が国内居住者に対して、無登録業者を営業する行為は違法であり、当社は関与しません。対面形式の営業はもちろん、Web・SNSを使う営業行為についても、当社は関与しません。実態として、国内居住者に対する営業になりかねないことが理由です。
- 海外居住者が、国内居住者に対して営業(外→内営業)
- 海外居住者が国内居住者に対して、無登録業者を営業する行為は違法であり、当社は関与しません。対面形式の営業はもちろん、Web・SNSを使う営業行為についても、当社は関与しません。実態として、国内居住者に対する営業になりかねないことが理由です。
- 国内居住者が、海外居住者に対して営業(内→外営業)
- 当社は当該国の法令を遵守いたします。
(2023年11月時点で当社は該当しません。)
- 海外居住者が、海外居住者に対して営業(外→外営業)
- 当社は当該国の法令を遵守いたします。
(2023年11月時点で当社は該当しません。)
当社における法解釈
当社における金商法の解釈を示します。
- 国内居住者が、無登録業者と取引する行為
- 合法。
自己責任として処理される事案。
例)個人トレーダーが無登録の海外FX業者を使ってFX取引をする。
- 無登録業者が、国内居住者に対して営業する行為
- 違法。
- 国内居住者が、無登録業者からアフィリエイト報酬を得る行為
- 実態として、国内居住者に対する営業が存在する場合、業者は違法・報酬獲得者は幇助。
海外居住者に対する営業の場合、金商法の管轄外。
- 国内居住者が、無登録業者からIB報酬を得る行為
- 実態として、国内居住者に対する営業が存在する場合、業者・報酬獲得者ともに違法。
海外居住者に対する営業の場合、金商法の管轄外。
- 海外居住者が、無登録業者からアフィリエイト報酬を得る行為
- 金商法の管轄外。
なお、実態として国内居住者に対する営業が存在する場合、報酬獲得者のみ違法。
- 海外居住者が、無登録業者からIB報酬を得る行為
- 金商法の管轄外。
なお、実態として国内居住者に対する営業が存在する場合、報酬獲得者のみ違法。
- 無登録業者が、海外居住者に対して営業する行為
- 金商法の管轄外。
当該国の法令を遵守する事案。
- EA販売(サポート付き)
- 管轄の地方財務局(以下、当局)への投資助言・代理業登録が必要。
無登録の場合、違法。
- EA販売(サポート無し)
- ソフトウェア販売の扱い。
当局への登録は不要。
実態として、サポート無しのEA販売はあり得ない可能性が高い。
EAが販促ツールになっている場合、営業に該当。
- 無登録業者が、国内居住者の注文を受ける行為
- 扱う金融商品の区分により、違法性が異なる。
FXの場合は、無登録業者が国内居住者の注文を受けた時点で、違法。
金商法における罰則について
金商法違反に対する罰則は厳しいものになることを覚悟する必要があります。以下、「行政書士トーラス総合法務事務所様」の記載を引用します。
いわゆる金融商品取引業を、財務局の登録を受けずに無登録で営業した場合、罰則は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、となっています(金融商品取引法第197条の2)。また、法人・団体に対しては5億円以下の罰金が科されます(金融商品取引法第207条)。また、無登録営業を行った際には、無登録で金融商品取引業を行うものとして、金融庁のホームページで公開されます。そうなると金融機関等の反社会的勢力のリストや信用情報機関のリストに「反社会的勢力」として登録されるとされています。そのため、無登録営業で公表された場合には、法人の口座を強制閉鎖されたり、代表者の金融機関の個人口座も開設できなくなったりするのはもちろんのこと、住宅ローンを借りることもできなくなり、賃貸住宅すら審査で拒否されるようになります。よって、社会的には、暴力団同様とみなされ、経済活動から事実上排除されることになります。
行政書士トーラス総合法務事務所
なぜ金商法違反が蔓延しているのか
この答えは「無登録業者からの報酬」で間違いないでしょう。その報酬はIB報酬などと言われます。IB報酬とは、あるEAに紐づけられた口座の取引が増えれば増えるほど、EA提供側にキャッシュバックが支払われる仕組みです。国内居住者を標的とする悪質な無登録業者は、強烈に広いスプレッドや意味不明のスリッページが特徴です。ドル円2pips、ユーロ円3pips、ポンド円5pipsというレベルは普通です。このスプレッドやスリッページがIB報酬の源泉となります。そして、そのスプレッドを支払うのは、投資家であるあなたです。この構図から見えてくるのは、IB報酬をもらう側は勝とうが負けようが関係なく、預かり資金とトレード回数が増えることに旨味があります。無登録の海外FX口座縛りのEAには、何か裏があると見るべきでしょう。違法行為のカモにされるのはあなたです。
被害回復のための相談・通報窓口について
あなたが無登録業者の口座で損失を被った場合、あなたは違法行為の被害者である可能性があります。被害に遭った場合は最寄りの警察に相談しましょう。投資は自己責任ですが、違法行為の被害者の場合は事情が変わります。犯罪捜査がなされれば、被害者のあなたは救われる可能性があります。
被害に遭わずとも、金商法違反を発見した場合は通報しましょう。あなたの通報が金融犯罪を未然に防ぐことにつながります。
【補足説明】海外FX業者によるIBについて
海外に本店を構えるFX業者には、「金融庁に登録している海外系FX業者」と「金融庁に登録していない海外FX業者(無登録業者)」の2パターンに分かれます。金商法違反で問題となるのは後者の無登録業者です。
無登録業者が、国内居住者に対して営業をすることは違法です。しかし、無登録業者を国内法で取り締まることは現実的にできないので、金融庁はHPで警告を発し、国民に対して注意喚起をしています。無登録業者がよく使う手口は、第三者に違法営業の片棒を担がせるというものです。違法営業の対価として支払われる報酬例が、IB報酬です。もし、あなたが、無登録業者からIB報酬を得ているなら、違法営業の片棒を担がされているのかもしれません。
- IBとは
- FXの世界で言われるIBとは、主に金融ブローカーに顧客を紹介する役割の人や会社を指し、その取引プラットフォームの顧客獲得を手伝います。
- IB報酬の仕組み
- IBは、金融ブローカーに顧客を紹介することで報酬を得ます(⇒IB報酬)。よくある仕組みは、IBに紐づけられたリンク(タグ付きリンク)をクリックして開設された口座の取引量に応じて、キャッシュバック(IB報酬)を受け取るというものです。
- IB報酬の原資は何か
- IB報酬の原資は、投資家のあなたが無登録業者に支払う手数料です。つまり、多くのIB報酬を獲得しようと思えば、あなたに多くの手数料を支払わせればよいことになります。あなたが支払う手数料とは、例えば、スプレッドやスリッページです。
- IB報酬の問題点とは
- IB報酬の問題点を考える場合、2つの重要な視点があります。1つは違法性、もう一つは道徳的な問題です。違法性に関してはこれまでに記載した通りです。道徳問題に関しては、個人の考え方に委ねられますが、秘密裏にスプレッドを広げ、顧客から手数料を搾り取り、全額信託保全もないような無登録業者へと、説明不足のまま送客しているという点が重要です。
違法IBの例
- 無登録業者と口裏を合わせて国内居住者を特定し、IB報酬を獲得。
- 自分のタグ付きリンクを使って国内居住者を送客し、IB報酬を獲得。
EA開発者の違法性
実態として国内居住者に対する無登録業者のサービスにEAを提供し、国内居住者の取引手数料から報酬を得ているEA開発者の場合、実態としてサービス成立要件の構成要素となりうることから、その者も共犯(無登録業者側)になると当社では判断しています。
【参考】呑み(ノミ)行為のメカニズム
「FX業者とは、顧客からの注文をカバー先・インターバンクへ流し、その際の手数料で商売を成立させている。」
このようにあなたは考えているかもしれません。しかし、注文をインターバンクに流さず、業者内で数字上の処理にて終わらせることもできます。一般的に、呑み(ノミ)行為と言われている手法です。
FX取引とは、見た目は画面上の数字のやり取りに過ぎません。入金すれば口座残高の数字が増えます。トレードをすれば、口座残高は増減するでしょう。しかし、それは数字の話なので、インターバンクに注文を流そうが流すまいが、画面上の数字の操作は可能です。
ノミ行為の理由として考えられることは、顧客の損失が、そっくりそのまま利益になる点でしょう。顧客の口座残高が減った分は出金対応する必要がないので、業者の利益に変換されます。つまり、ノミ行為は、顧客が負ければ負けるほど利益が積み上がる仕組みと言えます。逆に出金対応は、ノミ行為を行う業者の利益を減らすことになります。この点は、顧客とノミ行為の間には最悪の利益相反関係が構築されていることを意味しています。
ノミ行為にも様々なレベルがあります。全部ノム、一部ノム、一瞬ノム、というようにノミ行為にも様々なレベルが考えられます。
よくある事例は、EAを使わせて短期間で口座を破綻に追い込むケースです。口座が破綻すれば出金対応する必要がないので、顧客の口座残高はそっくりそのまま業者の利益となります。違法IBではこのような詐欺的収益の中から報酬が支払われていると考えられています。
無登録業者には、悪質性の高い業者が無数に含まれていることも予測されます。よって、仮に、真摯に営業している無登録業者が存在していたとしても、それを選抜してグレーゾーン(という名のライセンス)を作って与えるという安易な発想になりえるはずがありません。
【おわりに】金商法を遵守する意義
金商法の遵守は、投資家とサービス提供者の双方にとって有益なものであることを理解する必要があります。金商法の建付けは投資家保護が主たる目的の一つであるため、投資家の皆様にとって有益であることは理解しやすいと思います。
しかし、サービス提供者からすると、金商法は提供サービスを雁字搦め(がんじがらめ)にして、自由度が減るものだと考える傾向にあるようです。
ここに大きな誤解があります。
金商法を遵守するということは、投資の結果責任が投資家にあることを明確化できます。逆に、金商法に違反するということは、それは投資ではなく違法行為となり、違法行為の結果責任は投資家になく、投資家は被害者という位置づけになります。
あなたが取り扱っている金融商品が、破綻することなく利益を上げ続けられるかどうかは重要な視点です。
つまり、違法サービスの提供者は潜在的な加害者であり、被害者からの被害届が受理され次第、金融犯罪の当事者として捜査線上に躍り出ることになります。昨日まで普通に生活していた一般人が、急転直下、反社会的勢力になりかねないところが金商法違反の恐ろしい部分です。金商法を遵守せずに自由になるということは、金商法からも守られないという事態を理解せねばなりません。心当たりのある方は、人生を台無しにする前にすぐに手を引きましょう。