FXと外貨預金の違い

2024年1月10日

外貨預金をバージョンアップした金融商品がFX

*本記事は法律で認められた金融庁登録業者により書かれています。

FXは外貨預金をバージョンアップさせた金融商品です。
しかし、両者の違いが分からないという声をよく聞きます。
本記事では、FXと外貨預金の違いについて、10項目を比較して解説します。
外貨預金は損だと思われるかもしれません。
円を外貨に換えるという一点においては、両者は同じかもしれません。
しかし、詳細を知れば、かなりの違いがあります。
「FX=危険、外貨預金=安全」という勘違いも払拭しましょう。
記事の信頼性担保

【執筆】株式会社トリロジー
【登録】財務省近畿財務局長(金商)第372号
【加入】日本投資顧問業協会 会員番号022-00269
【説明】投資家の皆様への継続支援を通じて金融立国に貢献します。

本記事では、下記の目次の内容を記載します。

FXと外貨預金の比較(一覧表)

FXと外貨預金の違いを比較した一覧表を次に示します。まず、一覧表で概観を掴んでいただき、詳細な説明に飛んでいただけますと幸いです。

FX比較項目外貨預金
トレード、金利資産の増やし方金利
なし元本保証為替レートに依存
安い手数料高い
スワップポイント(変動)金利固定金利
「売り」「買い」いずれも可売買の初手「買い」のみ
いつでも可能換金性満期時
自分運用管理主体運用はしない
豊富通貨ペア数少ない
インターバンクレート取引レート仲値(TTM)
25倍までレバレッジ1倍
FXと外貨預金の違い

増やし方の違い

FXは「積極的に動いてお金を増やす」というイメージ、外貨預金は「寝かしているうちにお金が増えるといいな」というイメージです。

このように書くと、FXの方が大変そうで、外貨預金の方が楽(らく)そうに感じられるかもしれません。しかし、我々の感覚では、外貨預金をバージョンアップさせた極めて合理的な金融商品がFXです。

FXと外貨預金の目的は、お金を増やすということでは共通しています。しかし、お金を増やす仕組みが少し異なります。外貨預金では円を高金利通貨に換えて、その金利による資産増加を期待して口座に寝かしておくのに対し、FXでは金利に加え、為替レートを確認しながら柔軟に動くことができるようになります。

外貨預金よりもできることが増えたのがFXというイメージを持っていただけると良いでしょう。

FXと外貨預金の関係
FXは外貨預金をバージョンアップしたもの

元本保証の考え方について

FXと外貨預金では、元本保証に対する考え方が異なります。

FXは投資ですので、元本は保証されません。自分の責任で、積極的に増やしていくことになりますので、失敗すると減ることもあります。

外貨預金は、預金ですので換えた外貨の金額が減ることはありません。しかし、為替レートの変動により、円に換算した(戻した)時の価値が減ることがあります。

したがって、FXでも外貨預金でも、完全な元本保証はあり得ません。お金を増やそうとする以上、元本割れのリスクは存在します。

ちなみに、ノーリスク(元本保証)と勘違いされがちな円建ての銀行普通預金にもリスクがあります。利息がほとんどつかない現代において、物価上昇は銀行預金の最大のリスクファクターです。政府が目指す物価上昇率2%が達成されるなら、銀行預金は毎年2%ずつ元本から目減りすることになります。

銀行預金でも元本保証されない事実

手数料について

FXにおける手数料はスプレッドで、ドル円の場合は1銭とか2銭とか、極めて安いものです。一方、外貨預金では、手数料の安い米ドルでも往復で2円程度の手数料がかかります。なんと、FXの場合と比べて100倍以上も差があります。米ドル以外の通貨では、ユーロで往復3円など、往復2円以上かかる事は普通にあります。

外貨預金の場合、円から外貨に交換するときにTTS(対顧客電信売相場)というレートが適用されます。これは、TTM(インターバンク市場での実勢レートを基準にした対顧客向けの基準レート、日本語では仲値)に銀行が手数料を加えたものです。解約の際、外貨から円に交換する場合には、TTB(対顧客電信買相場)というレートが適用されます。このTTMやTTBというレートから計算すると、外貨預金の場合は米ドルでも往復で2円程度の手数料が発生することになります。

投資の基本は手数料を下げることですので、FXの方が投資の基本に合致していると言えます。

FXの手数料は外貨預金の1/100

金利について

外貨預金には普通預金と定期預金があります。

通常、外貨預金といえば、金利の低い円を、金利の高い外貨に交換して寝かせる外貨定期預金の事を指します。円の金利はほぼゼロなので、円建ての定期預金よりは外貨の方がお得かもしれません。なお、外貨預金では、満期にならないと金利を受け取る事ができません。

一方、FXの場合は、外貨預金の金利に相当するスワップポイントを毎日受け取る事ができることに加えて、いつでも引き出せます。さらに、受け取れる金額は外貨預金よりもFXの方が多いのが通常です。

FXのスワップポイントは日々受け取れる

リスクコントロールについて

FXと外貨預金は、完全な元本保証はあり得ないので、一定のリスクがあると考える方が妥当です。したがって、そのリスクをコントロールしやすいかどうかは重要なポイントになります。

我々の結論的には、リスクコントロールをしやすいのはFXです。

外貨預金は、満期になるまで解約できず、途中解約はペナルティを受けます。つまり、円高が進んだとしても、途中で解約することができません。

南アフリカランドのような高金利通貨による外貨預金が流行ったこともありましたが、南アフリカランドは下落し続ける通貨なので、為替差損を金利で埋め合わせるのは難しいでしょう。

15年ほど前のポンドの外貨預金は特に悲惨で、ポンド円の最高値は243円前後ですが、リーンマンショック以降下落に転じ、今は半値程度です。当時のポンドの金利では、この為替差損を埋め合わせることはできないでしょう。

外貨預金はレバレッジが1倍なので安全だと考える人がいますが、途中解約ができないというリスクは、レバレッジを遥かに凌駕するモノだと心得ることが重要です。

リスクコントロールは圧倒的にFXが容易

売買の初手について

FXでは、外貨を売りから入ることもできますし、買いから入ることもできます。

一方、外貨預金では、円を売って外貨を買うことしかできません。外貨預金の場合は、高金利のみが収益源なので、高金利外貨を買うこと以外の選択肢がないのは当たり前です。

しかし、下落局面にある外貨であっても、わざわざ買うという選択肢しか選べないという意味では、柔軟性に欠けると言えます。

また、今は各国の金利が下がっているので、高金利通貨を買うことによるメリットは小さいものになっています。

FXなら売りから入ることも可能

運用管理主体の違いについて

FXにおける運用判断は基本的には自分で行います。自動売買を用いる場合でも、自動売買システムの選択は自分で行います。

外貨預金の場合は、高金利を期待して銀行に預けるだけなので、積極的な動きを必要とするものではありません。一方で、外貨預金の場合、満期の時期と固定金利が決まっているので身動きが取りにくく、為替レートが変動することによる為替差損が発生した場合、それを回避することはできません。

金利が差損を埋めてくれることを期待するのみです。

通貨ペアの違いについて

FXと外貨預金では、扱っている通貨ペアの数が圧倒的に違います。FXの方が圧倒的に多くの通貨ペアをトレードできます。FXでも、実際に使う通貨ペアは20種類程度で十分ですが、FXにおける選択肢の多さはリスク分散にも利用できるため、多いに越したことはありません。

FXは豊富な通貨ペアでリスク分散可能

レバレッジの違いについて

FXでは、最大25倍までレバレッジをかけることができます。一方、外貨預金の場合、レバレッジは必ず1倍です。

このような事情から、FXはハイリスク・ハイリターンな金融商品であると錯覚されがちです。

しかし、レバレッジが1倍の外貨預金は一度預けたら身動きが取れない分、リスクの曝露に対して圧倒的な脆弱性を示すことがあります。

FXの場合は、リスクから自由に逃げて安全地帯でチャンスを待つことも可能です。

FXのレバレッジは最大25倍

FXと外貨預金の違い(まとめ)

  • FXは外貨預金をバージョンアップした金融商品であるというイメージを持ちましょう。
  • FXのリスクが高く、外貨預金のリスクが低いというイメージは誤解であり、逆のケースもよくあります。
  • FXの方が機動的な資産形成を可能にします。

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